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【第1話】映像への愛を試されているときは、絶対に逃げたくない。

動画クリエイター ニナさん

コロナ渦のある日、X(旧twitter)に目を惹く動画が流れてきた。星野源さんがアップロードした「うちで踊ろう」という曲をBGMに、カラフルな色使いと、音楽に合わせたコミカルな動きのアニメーション。ゆるい動物のイラストが可愛く、何度も見返してしまった。「自分でイラストを描いて、しかも動画が作れるなんて、すごい神業だ!」と思わず驚愕した。


そんな作品の制作者は、動画クリエイターのニナさん。今までは暗めのトーン、かつシュールなものばかりを好んで描いていたそうだが、BGMに合わせて、初めてカラフルなアニメーション映像を制作したんだとか。「初めてなのにあのクオリティ!?」と尊敬の眼差しを向けずにはいられない。




私が彼女と直接会うまでに抱いていた勝手なイメージは、「クールで仕事熱心な人」。依頼された案件に対して完璧なクオリティのものを提供し、全てを要領よくこなしている印象があったから。

仕事に対する意識の高さは、当時の印象と変わりなかったけれど、「クール」からは少し違っていた。その場を一瞬にして明るくするムードメーカーで、動画のポップさを体現したかのような、陽気でお茶目な性格。良い意味でイメージを変えてくれた彼女のことを、私は気になって仕方なかった。ニナさんって、一体どんな人なんだろう。

話を聞いて驚いたのは、動画クリエイターとして活動を始めるまでの、長い道のり。彼女の夢が形になり始めたのは、つい最近のことだった。


勉強に必ず「答え」があることに疑問を感じていた学生時代

ニナさんは幼少期の頃から、映像やアートに関心を持っていた。言葉で伝えきれないことを、視覚的に自由な表現で形にすることに憧れがあったんだとか。そんな理由もあって、学生時代は美術と図工の授業が好きだったそうだ。


しかし、当時の授業では、今まで彼女がアートや映像に対して感じていた"自由な世界"が存在しないことに気付く。



ニナさん

「授業って必ず"正解"があるんですよね。一生懸命作った自分の作品を否定される場面が増えたんです。それが本当に嫌で、根本的に自分が好きなものは極力、人には見せないようになりました。自分だけが満足できればいいや、と思って。


高校ではデザイン科のある学校へ進学しました。当時も、映像制作への憧れはありました。でも、映像制作をしている人たちは自分にとって偉大過ぎて(笑)デザインは楽しいから、とりあえずやってみようと思って」




映像制作との距離が縮まるのは、大学生の頃。映像学科のある短期大学に通うことになった。


幼い頃から憧れ続けていたテーマを学べるということもあり、大学では本格的に自分が作りたいものを形にしようと期待に胸を膨らませていた。


しかし、ニナさんが"抽象的・アート的"な映像を作りたい一方、教授には "商業的"な映像制作を勧められることになる。



ニナさん

「大学でも自分の作りたい世界を受け入れてもらえなくて、映像に対する自信がなくなってしまったんですよね。映像は好きだけど、仕事ではなく趣味でやろうと思いました」




(第2話へつづく)







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